北但震災90周年記念行事
今年は北但震災から90年、いくつか記念行事があったが、あまり注目もされずに終わった感がする。豊岡市主催の行事では、参加者は多かったが、ほとんどが区長や行政など、声をかけられて来たと思われる人であった。
内容は開会行事の後、郷土史家の中村英夫さんの講演、昨年こうのとり戯曲賞を取った西史夏さんの「Bridge」を木野花さんが朗読、そして西史夏さんの講演であった。中村さんの講演は何度か聴いたが、いつも豊富な資料に感心したが、ご本人も言われていたが、与えられた時間が短く、かなり端折った感じかがした。その後の朗読や講演も内容としては良かった。今回の行事の中ではこちらがメインとなっているのであろうと思えた。
戯曲というものを知らない私が言うのもなんだが、「Bridge」は作品として素晴らしいものなのだろうが、「地震を語り継ぐ」にはどうかと思った。地震、火災、温泉旅館、背景としての北但震災であって、描かれたいのは主人公の人生や思いであって、極端な言い方をすれば、設定は城崎でなければならなかったのだろうかと思えた。
当時の西村町長が行った震災からの復興が現在の城崎を形作っている。まさに城崎は冬の大火災からの復興や旅館の改築など、新たな課題に取り組んでいる。豊岡では、多くの学生がボランティア活動を行い、田結地区では消火活動を優先し、圧死者は出たものの、焼死者が無かった。阪神淡路大震災の70年前に震災対応とその後についての教訓を残している。
中村さんの講演では、これらのことも取り上げられていた。これを基調講演として今後の取り組みや豊岡市としてのあり方などを検証し、市としての提言なり、メッセージを市民だけでなく全国への発信をして欲しかった。阪神淡路大震災20年の行事では、東北大震災と連携し、若者による提言なども行われた。これから地域を支える人たちの意識を高める上でも良いことだと思う。
城崎の慰霊行事や、田結地区のお百度参りという形で震災は語り継がれているものの、23号台風とは違い、体験者もほとんど存命されておらず、歴史の中の出来事という意識が強い。市の広報に今年1年間震災についてのコラムを載せる、市役所の入り口あたりに展示コーナーを置く、震災マップを作る、防災教材を作るなどなど、震災を発信する手立てはあると思う。
残念ながら、市民の多くは北但震災を意識すること無く23日を終えてしまった。貴い犠牲と貴重な教訓を残した地震を検証し、伝え発信して行くことが、今後の豊岡市の防災につながると思う。
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